2014年12月11日木曜日

ドミニク・フォンデさんのガラス版画ワークショップ

こんにちは、銅版画4回生の杉浦です。

12月3日(水)に、ドミニク・フォンデさんによるガラスエングレーヴィングの特別講義があり、工芸学科のガラスコース3回生と版画コースの3、4回生が参加しました。



はじめに、ドミニクさんがスライドを見ながら、経歴や作品に関するお話をして下さいました。



ドミニクさんはイギリス出身の作家で、ガラスに物語や絵をエングレーヴィングした作品を作られています。



ガラスエングレーヴィングとは、ガラス工芸技法の一種で、リューター等の電動工具を使いガラスに絵や模様を彫るという技法です。



ドミニクさんはSFやファンタジーを舞台にした、登場人物の思いや記憶を題材にした自作の短い物語を書き、それをガラス板・花瓶・ワイングラス等の脆く壊れやすいガラス製品に刻む事で、人間の内包する感情や記憶の儚さを表現しています。


鳥が好きで、最近では鳥の素描をエングレーヴィングした作品が多く見られ、ガラスに描かれた鳥はとても繊細で綺麗でした。

ロンドンからシンガーポール、神戸と移り住み、国境を越えて活躍されています。


今回は銅版画の山本先生とガラス工芸の山野先生の「ガラスでも版画ができるんじゃないか」という発案をきっかけに、特別にガラス版画をやって頂く事となりました。

作家紹介が終わり、エングレーヴィングに移るその前に、少しだけ簡単なウォーミングアップ!



白い紙が配られ4分割し、左上に10秒で象を描くよう指示がありました。
みんな思い思いの象を素早く描きます。
次に右上に、利き手とは逆の手で先ほどの象と同じ物を描きます。
今度は左下に、眼をつむって同じ象を描きます。
最後に右下にもう一度右手で同じ象を描きます。



素描は字を書くのに使う筋肉と同じ筋肉を使っています。
この練習で、協応動作がどれくらい優れているかがわかります。

左手は上手くコントロールできず、眼をつむったものは原形をとどめない形になり、なかなか思うようにいきません。
練習すればスムーズにできるようになるそうです。

ウォーミングアップが終わり、今度は実際にエングレーヴィングに挑戦!
版画の学生達は、リューターを持つのが初めての人ばかりです。



1枚目はリューターによる作業の練習をします。
みんなで机を囲み、紙に線を描き加えては隣の人に回し、合作の下書きをつくりました。
下書きの上にガラスを置き、油性ペンでガラスに下書きを写します。
直接削らず一度ペンで描くことで、ミスを減らすことができます。


リューターの使い方も丁寧に教えてもらい、線の上をリューターで何度もなぞっていきます。




力を入れすぎると線がブレてしまうので、加減が難しかったです。



透明なガラスをエングレーヴィングすると彫り跡は白い線になります。
版としてではなく、エングレーヴィングしたガラスを作品とする場合は、ガラスの後ろに黒い背景を置き、正面から光を当てるととても綺麗に鑑賞することができます。
ただ、この場合は彫った線は白く、透明のガラスの部分は背景の黒が透けるため、色を反転させる必要があります。



目的に合わせて注意が必要です。
今回は銅版画のように凹版刷りにするので、その心配はいりません。

1枚目の練習ができた人から、2枚目の自分の作品に移ります。
それぞれ考えてきたエスキースをペンで写し、エングレーヴィングしていきます。
みんな表情が真剣そのもの!黙々と彫っていきます。



エングレーヴィングが完成したら、それが版となります。
銅版と同じように彫った線にインクをつめます。



ガラス板は銅板よりもインクが拭き取りやすく、寒冷紗のみで綺麗に仕上がります。
ガラスのサイズに合わせて穴を空けたベニヤ板と、フェルトを置いた銅版用プレス機に乗せ、プレスします。



以前実験した時に、圧のかけ過ぎで大きな音を立てて割れたことがあったのですが、
今回はそのような心配もなく、綺麗に刷りあがりました。




銅板にエッチングするよりも優しい線がでます。
私はローラーを使って凸版刷りにも挑戦しましたが、納得のいく作品になりました。  

普段ガラスを使う機会がないので、とても貴重な経験となりました。
時間があればもう少し続けたかった!
ドミニクさんも奥さんもとても優しく、楽しい時間となりました。

お二人とも、ありがとうございました!!



版画コース4回生の杉浦

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